木曜洋画劇場三時間枠未公開映画『豪華客船ゴライアス号の奇跡』『第三次世界大戦』『大脱走! カウラ日本兵捕虜収容所』−

 まだビデオ市場が成熟していなかった頃、番組改編期には各局がドカンと最新作・話題作映画を放映する中、テレビ東京は未公開のミニテレビシリーズを多数長時間枠で放送する挙に出ました。

「第三次世界大戦」は、「オメガマン」のボリス・セイガル監督が撮影中にヘリコプター事故で死亡、デビッド・グリーンが後を継いで完成させた作品です。近未来、ソ連の政策に不満を表明したアメリカが、ソ連への穀物輸出を差し止める措置を打ち出します。窮したソ連は、アラスカに特殊部隊を投入、アメリカのオイルライン中継基地を占拠し、それを穀物輸出継続への切り札に使おうと企てます。アラスカは猛吹雪に見舞われ、アメリカは軍隊を派遣できず。現地で訓練中だった一小隊が、基地守備のために急行します。以降、米ソ首脳の駆け引きと、アラモ砦よろしく優勢なソ連部隊と劣勢のアメリカ部隊の攻防戦が平行して描かれます。戦争突入を主張する軍部を抑えて米ソ首脳は和平の合意を得ますが、その直後ソ連書記長は何者かに暗殺され、石油基地もソ連部隊の手に落ち、第三次世界大戦の勃発を暗示しながら本作は幕を閉じます。

「豪華客船ゴライアス号の奇跡」は、ケビン・コナー監督による、海洋冒険もの。数十年前に海に沈んだゴライアス号が発見されますが、それを発見したダイバーは仰天します。船窓から、若い女性が外を覗いていたのです。直ちに救助隊がゴライアス号に乗り込みます。なんと船内には当時の船員・船客達のほか、彼等の子供たちまで数十人の人間が生存していたのです。船が沈没した後、クリストファー・リー扮する機関士が外壁を修理すると共に酸素供給機関を設置、沈没船内に自給自足システムを確立していたのです。しかし限界の見え始めていたシステムを維持せんと、機関士一派は船内に恐怖政治を敷き、すでに船内では内部闘争が始まっていたのです。かくして反乱グループに参画した救助隊員達によってゴライアス号の歪んだ共同体は崩壊します。

「大脱走! カウラ日本兵捕虜収容所」は、珍しやオーストラリア製のテレビシリーズです。石田純一扮する日本兵がオーストラリア兵と一騎打ちして倒され、そのままカウラ捕虜収容所に収容されます。そこで石田は先のオーストラリア兵と友情を育みますが、「生きて虜囚の辱めを受けず」の日本兵達の心理は次第に膨張し、最終的に集団バンザイ突撃を敢行、ほとんどが射殺されます。一人脱走に成功した石田も、無装備でうろついていたところを捜索隊に見つかり、オーストラリア兵の眼前で無残に射殺されます。

 他にも「長く熱い夜」「スーパーキャリア・超巨大空母緊急出動」といった作品もありますが、この3本は内容的に秀逸で、大金をばらまかなくてもいい作品は持ってこられるという、テレ東魂を堪能させてくれる作品でした。


編集部T氏「あ、もしもし、天野君?」私「はい?」「ちょっと悪いんだけれど、この原稿ボツにさせて。申し訳ない。ページが足りなくなっちゃった」「ええー」「原稿料はきちんと払うから。他の先生方も、同じようにいくつかボツにさせてもらっているので、何とか。ホームページでまた紹介すればいいじゃん」「……了解しました」。というわけで、以前のように忘れ去られたわけではないけれど、ボツになった原稿です。まあ、ビデオで出てる作品だからいいですけれどね。でもその代わりでしょうか、人が入稿したプロフィール原稿を無視して、相変わらずギャグを入れたつもりの変なプロフィールを勝手に入れられましたけれど(溜め息)。


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