−1997年度マイ・フェイバリット映画ベストテン−

 「CLONEZ」

 映画秘宝読者なら共感を持たれるところが多いと確信するが、とかく自分が観たい作品がソフトになっておらず、ほぞを噛んだ思いは多いと思う。名作映画は繰り返しリリースされるのに、山のごとくある観たい映画は未だ音沙汰無し。映像会社がビデオバブルを通り抜けて営利事業としての馬脚を現している現在、映像会社のソフトに対する姿勢はますます注視されなければならないのではないか。

 昨年新たな映像ソフト市場として立ち上がったDVDも、そのソフト不足に青息吐息である。夏まで日本映画は一本としてリリースされず、某社に至っては「うちのソフトは他では出せないから」と洞ヶ峠を決め込んでいる。そういった中、あえてDVD市場を見据えて発表された九鬼の「CLONEZ」に、筆者は一票入れたい。作品的にはビデオ映画にありがちな尺数を持て余した感が強いし、作品として水準に達しているとは言い難いが、「一番槍」を狙ったメーカーの気概を、邦画各社への嫌みも込めて賞賛したいと思う。


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