亀有名画座
名画座と一口に言っても星の数ほどもありますが、自分的に東京三大名画座を挙げるとすれば、大井武蔵野館、文芸座、そしてこの亀有名画座です。1941年開館後、東映封切館、一般名画座を経て、1983年より成人映画専門館となった亀有名画座は、作品をきちんとセレクトして上映する名画座、しかも普段はなかなかお目にかかれない成人映画専門という事で、大変貴重な名画座でした。しかし入場者の減少、平成に始まった道路拡張の煽りを喰らって、1999年2月28日に休館。これで東京でマイナーな邦画を楽しめる映画館は滅んだと言って良いと思います。
JR常磐線亀有駅南口を出て、商店街を抜けて左折した所に存在した亀有名画座。商店街のど真ん中に馴染んでいた成人映画館は、地元の人にとってどんな存在だったのでしょうか。 |
入場口。右側の窓口は古い映画館の例に漏れず閉じられていて、入場券は中に入って買う形式となっていた。 |
正面ロビー。客席の左右の通路にもベンチがあり、右手奥にお手洗いがあった。元は封切館だけあって、意外と中は広い。 |
売店。最終日は(も?)有志の方々が店番を勤めていました。売っているのは、成人映画のビデオや情報誌がメイン。ポットに入ったコーヒーの湯気が目に染みた。 |
正面ロビーには、名作成人映画のポスターが壁を覆い尽くさんばかりに貼られている。せんだみつおのサイン入りの映画「こち亀」のパネルという珍品も。右側の通路には、寄せ書き専用の紙が貼り出されていた。 |
客席。224席と大スクリーンという、昔封切館だった映画館ならではのスケール。大スクリーンで成人映画を楽しめる所も、本当に減りました。 |
今井通雄支配人。半世紀もの長きにわたり亀有名画座と共に生きて来た今井氏は、長年切符のもぎりと売店の売り子もフルに勤めていた、映画館人の鏡のような人。普通は映画館の中は閉館が決まっていても撮影は禁止なのに(汗)、「3月4月には建物は壊されてしまうから、どんどん撮ってください」。本当に、いい人です。 |
横から亀有名画座に臨む。道路拡張の為に、この突き出た部分(映写室とロビー)が邪魔なんだと(怒)。 |