その他思い浮かぶ映画館雑記

写真とかがないので、お話だけ。


テアトルデンキ(不知火槐一さんの投稿)

多分、この名画座はご存知ないと思う。なぜならば、これは私の故郷の熊本市にあった映画館だからである。もともとピンク映画館だったのが、映画の斜陽とともに名画座になったという映画館。夏場になるとお馴染みの怪奇映画特集。当時、わたしは小学生だったのでひとりでは映画館に行け なかったが、岸田森の吸血鬼のポスターが恐かった。通るたび恐怖半分、見たさ半分で眺めてました。その時は三本立てで 『血を吸う眼』『悪魔が呼んでいる』『ハウス』だったと思います。 でも、ここで幼稚園の時に『キングコングの逆襲』『ガメラ対ジグラ』『妖怪百物語』を見た時のことは今でもよく覚えていて印象的。また、初めてひとりで映画館に行ったのもココ。小学六年生の時に『宇宙怪獣ガメラ』『鉄腕アトム』『ウルトラ兄弟対怪獣軍団』 を見た、人生を語る上で重要な場所でもあるのです。


ヨコハマニュース劇場

東急東横線桜木町駅改札口を出て右側の信号を渡ればすぐのところにあった映画館。ザ・ドリフターズの映画や寅さん、座頭市に子連れ狼、やくざ映画、三流喜劇映画と、関連性の無い日本映画をなんでもかんでもくっ付けて3本立てで興行していた。さらに昼間の番組をそのままオールナイト上映していて、さぞかしここで貴重なフィルムが酷使されまくった事だろう(笑)。港湾地区が近いということもあり、労務者風のおじさん達の宿泊所と化していて、もぎりや売店のおじちゃんやおばちゃんも場慣れした猛者という印象だった。入って左側に事務所、右側の狭い通路を経てすぐに暗闇に入れる。席は一階席のみだが、スクリーンの前に「いらっしゃいませ」と吹き出しが書かれている笑顔の寅さんの等身大POPが立てられているのが印象的。そして観客席の前左側に扉があり、恐ろしい事にその向こうに便所が直結しているおかげで、観客席は異様な臭気が漂っていた。その反面上映中に用足しに行っても背後から火野正平の台詞や銃声がよく聞こえるので(便所の窓から隣の空き地が丸見えで小用を足す時は開放的な気分になれる……というのはさておき)、ストーリーが分からなくなることは無かった。しかしこの映画館の一番凄かったところは平成の世に劇場名の通りニュース映画を上映していた事で、私が観に行った時は横浜市内の河川の不法投棄問題のニュース映画を上映していた。


五反田TOEI

JR五反田駅西口を出て、5分ぐらい歩いた川べりにあった名画座。ビルの一階を封切館の五反田東映と名画座の五反田TOEIが間借りしており、よくSF映画の3本立てを上映していた。「ゾンビ」「地球最後の男オメガマン」「世界が燃えつきる日」の3本立ては、一番前に陣取って一日観ていました。ここは数年前に休館してしまいましたが、前述の番組以外の印象がないので、本当はごくごく普通の名画座だったのかも(笑)。


世界傑作劇場

JR上野駅南口から歩いて5分ぐらいの場所にある。現在形で書かれている事でお分かりになると思うが、実はまだ存在している映画館(あれ? でも手元の映画情報誌に載っていないという事は、無くなったのかな?)。……なんだけれども、諸事情により私は二度と足を踏み入れる事がないであろう映画館になってしまったので、15年程前に「ゾンビ」を観に行った一般的な名画座だった時の記憶を。構造的にはビルの一室を日本名画劇場と分けている形になっており、券を買った後階段を上って二つに分かれた通路を左側に曲がるのだが、右側にはピンク映画館だった日本名画劇場の扉が構えており、建物に入った時点であらぬ誤解を受ける可能性のある構造だった。観客席は72席と小規模な映画館だが、ユニークなのはフィルムをスクリーンの裏側から上映している、いわばでかいプロジェクターみたいな上映方式を採っており、上映中に後ろの席の観客が立ち上がっても、影が映らないすぐれものだった。ただ、当時でも1本立て700円という入場料金は、高かったと思う。


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